[FLNK MAGAZINE] K-POP MV 監督、キム・ヒョンジェ(NOVV KIM)とのインタビュー
“映像にたった1つのメッセージが入っていればミュージックビデオだと思います“
完成度の高いK-POPミュージックビデオを見ると、私たちはアーティストと彼らの音楽をより愛するようになる。アーティストとファンの固いつながりとなったK-POPミュージックビデオは、誰がどのように作っているのだろうか?
最近の作品であるSTAYCの「Teddy Bear」をはじめ、Stray Kids、Chung Ha(チョンハ)、KANGDANIEL(カンダニエル)、SF9、DAY6など、数多くのアーティストの映像を制作した NOVV KIM(キム·ヒョンジェ)監督に彼の作業とK-POP業界について聞いた。
Q. こんにちは、NOVV KIMさん! FLNK MAGAZINE 読者の皆さんにご挨拶をお願いします。


こんにちは、僕はミュージックビデオやパフォーマンスビデオなど、音楽をメインに映像を制作し、フォトグラファーとして活動しているキム・ヒョンジェ(NOVV KIM)です。「We are NOVV」というクリエイティブチームのリーダとして活動しています。
Q. K-POPミュージックビデオの作業を始めたきっかけが気になります。
写真と映像に関する勉強を終え、社会に出て2年間、YouTube音楽チャンネルでライブクリップとパフォーマンスビデオを制作しました。小さい頃から色んなジャンルの音楽を聴いて踊ることにも興味を持っていたので、音楽関連の映像を作るのが僕にぴったりでした。体にフィットする服を着たかのように。
その時、インディーズミュージシャンからK-POPアイドルまで、様々なアーティストの映像を制作しながらエンターテインメント会社と交流ができたんですけど、僕の作品を気に入っていただいた会社とアーティストからオファーを受けて、ミュージックビデオという領域に足を踏み入れることができました。その中でも多様なコンセプトの、華やかなK-POPミュージックビデオに目がいき、音楽のメッセージをダンスで表現する姿に魅力を感じてこの仕事を続けています。
🎬 NOVV KIMさんのK-POP MV
Q. K-POPミュージックビデオの制作をしながら記憶に残っている撮影エピソードはありますか?

最近公開されたSTAYCの「Teddy Bear」のプロジェクトが一番記憶に残っていますし、仕上がりに満足しています。本来はK-POP業界で主に見られる素敵で華やかなイメージの満ちた映像ではなく、「ストーリー」が込められた映像を作ることができたので幸せなプロジェクトでした。アーティストの事務所側からも新しい試みをしたいという気持ちを伝えてくださったおかげで、K-POPミュージックビデオの枠をある程度壊すことができた制作だったと思います。
現場で一番記憶に残っているのは、トラックがコンビニの壁を壊して突進する場面を撮影した時です。どうしても1テイクで成功させなければならなかったので、緊張した瞬間でした。コンビニのアルバイト役の方が壁の近くのレジに立っていなければならない状況だったので危ないかもしれなかったんですけど、スタントマンの方々の指導のおかげで安全に撮影を進められました。幸いなことに、1テイクで無事に成功してみんなが拍手したのを覚えています。

一番大変だった撮影は、Stray Kidsの「Lonely St.」のミュージックビデオの現場かもしれません。去年の冬に撮影したんですが、とても寒くて体力的にスタッフ全員が苦労したのを覚えています。野外ロケで夜のシーンを撮影していたので、厳しい風と寒さに震えましたね。アーティストとスタッフのみんなが鼻水を垂らしながら、すごく苦労して撮影しました。そんな中、演出チームのスタッフの1人は寒さに耐えられずストーブにくっついていて、ダウンが溶けてしまった、笑えない思い出があります。



DAY6のユニットグループEven of Dayの 「Right Through Me」の撮影現場も記憶に残っています。ミュージックビデオの最後のシーンで、窓ガラスを壊して建物の外に身を投げ出す場面が出てきます。このシーンは「シュガーグラス」という特殊ガラスを使って安全に撮影したんですけど、シュガーグラスの費用がとても高かったので、この撮影も1テイクで完成させなければなりませんでした。
それで、事前にガラスなしで練習をたくさんしました。実際、撮影に入った時はアーティストがかっこよくしてくださって、素敵なシーンを撮ることができました。このシーンは、超高速カメラを活用して非常に遅い速度で撮影しました。 現場でモニタリングをした時、その強烈さを今でもよく覚えています。
Q. 撮影現場で一番大事にしているところは何ですか?
ミュージックビデオの撮影現場には多くの方々が参加します。ひとつの空間に色んな職業の人々が集まっている風景が、毎回異なるように感じられます。僕はミュージックビデオの監督とは、まるでパーティープランナーのようだと思いますが、「現場」が円滑に進められるよう、あらゆるところに気を使わなければならないからです。
その中でも僕が一番大事にしているところは、参加するスタッフたちの努力に対する感謝と認めてあげることです。大衆が見るミュージックビデオの主人公はアーティストですが、彼らを主人公にするために何百人の人々が陰で頑張っているんです。いつも沢山の人々が面白くて楽しい撮影だったと感じられる現場を作るために努力しています。
また、スタッフがそれぞれのポジションで、完全に任された仕事に集中できる環境を作ろうとしていますね。これは完成作品にも影響を及ぼす部分なんですけど、僕は楽しくてあたたかい現場で素敵な結果が出ると思います。小さなことが集まって巨大な力を発揮するように。
Q. 制作の部分で、ずっと持ち続けたいアイデンティティがあるとしたら、どのようなものですか?


地道に持ち続けていこうと思っている部分は、メッセージとトーン&マナーではないかと思います。映像は写真と違って「時間性」が存在するので、その中に入れられる要素が写真に比べて遥かに多いです。僕は、映像の中に1つでもメッセージが入っていればミュージックビデオだと思うんです。そのため、どんな作品を作っていても「ストーリー」を入れようとします。そして、華やかなエフェクトと速いトランジション効果よりは、1つのカットに込められた重みのあるイメージが好きで、色の補正作業をする時、それを意識して進めています。どっしりとした濃い色合いが好きなので、そのような色彩を使うことが多いですね。
Q. 一緒に制作したアーティストのファンの方々の反応がすごく良かったですよね。
僕はミュージックビデオの制作の準備をする時、毎回アーティストの情報やそのアーティストの魅力、ファンの方々のニーズを調べます。実際にファンの立場でたくさん分析した結果、ファンが残念だと感じた部分を満たすことができたと思っています。海外のファンの方々からも連絡がたくさん来ますし、ある程度の時間を経て、今は僕たち自身の姿を好きになってくださり、とてもありがたいです。
ミュージックビデオが公開された後は、YouTubeのコメントや各種コミュニティに掲載されるフィードバックを読みながら足りていないところを探求するタイプです。誰かが、僕が作った作品について熱い討論をして、意図していたものより、もっと面白い解釈をしたり、再解釈する様子こそ、僕が一番嬉しい瞬間ですね。
Q. NOVV KIMさんが一番好きなアーティストが気になります。
My favourites are a British band called “The 1975” and “Troye Sivan”. In the case of The 1975, the style of music they create is the vibe I've always loved, and I like Troye Sivan because he tells his own real-life stories and emotions.
Among KPOP, I love Lee Hyori, 2NE1, and Brown Eyed Girls.
These are all KPOP artists that I've loved to the point where I know every song on every album. Lee Hyori's "U-Go-Girl" is a song that I love so much. I even see the choreography of the song by heart. Another artist I've recently become interested in is STAYC. I have been collaborating with them at POPPY since it presented a fantastic opportunity. However, I must assert that as I continue working on the project, I have begun observing them with more scrutiny.
Q. ミュージックビデオ監督の視点から見るK-POPコンテンツの業界とはどんな姿ですか?
僕もK-POPを愛する人なので、K-POPが短期間で世界的に広く知られた今がとても楽しいです。おかげでより多くの方々に僕たちの完成作品をお見せすることができ、毎回、制作をする度に世の中のフィードバックが待ち遠しいですね。僕が若かった頃のK-POPが、主に多様で独特なコンセプトの第2世代アイドルだったとすれば、今はさらにおしゃれで感覚的な文化に成長したと考えます。すべてのものにはトレンドがあるので、毎回、話題になる文化も多様になったと思いますね。
もちろん視聴者の立場だった時と違って、制作者の立場になってみると残念なところもありました。僕が作業を始めた時期は、K-POPがある意味で少し似たような姿だったかもしれません。みんなが完璧な姿を追求して、多様ではありましたが、少し似たような感じを受けたりしました。最近は再び色んな試みが感じられてもう一度変化をする時期のようで、とても嬉しい限りです。AIを取り入れるなど、多様化する時代に合わせて、様々な文化を味わえるのがK-POPの特徴だと思います。
速いスピードで成長したK-POPの文化が引き続き、色んな姿を見せながら発展していくことを願います。一時的な流行に止まらず、1つの文化としてさらに定着できる明日を応援します。僕たちのような制作者たちもその速度に合わせて、あるいはもっと早く先立って、新しい試みを続けていかなければなりません。これからもK-POPが沢山の方々に前向きな影響を届けてほしいと思います。
Q. これからK-POP業界ではどんな制作者として記憶されたいですか?

「We are NOVV」チームのモットーは、世の中で差別されている方々に平和を伝えることです。僕たちのチームのスローガンのように 「希望」、「慰労」、「勇気」のような温かいメッセージを伝える人として生きていければと思います。
Q. 最後にK-POPを愛するファンの皆さんへのメッセージをお願いします。
1つのミュージックビデオを作るには、何百人の努力が必要です。誰よりも音楽に集中し、アーティストの魅力を探求して、最も素晴らしい作品を作り出す人たちがまさにスタッフです。20時間以上走り回って撮影をして、3~4時間あるいは、その時間すらも眠れないまま、再び撮影をします。熱い太陽と厳しい風に立ち向いながらです。もちろんミュージックビデオの撮影現場の環境も改善が必要ですが、それにもかかわらず、このような条件の中で仕事を続けていく理由はやはり楽しみのためだと思います。K-POPに強い愛情を持って、あらゆる努力をしている舞台裏のスタッフにも、どうかあたたかい応援をよろしくお願いいたします。
Credit.
Artist : NOVV KIM (Kim Hyunjae) Instagram @novvkim
Interviewer : Jihye Kim
Editor : Jihye Kim, Seungmin Lee
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